2024年度 大阪府公立一般入試問題分析と今後の受験に向けて求められる力(社会編)
▶分析
今年度の入試問題は、昨年度よりも易しく、社会が得意な生徒にとっては解きやすいものでした。また、選択肢に明らかに違う語句が含まれ2択まで絞りやすかったこと、「漢字○字」などの問い方で解答の幅を狭めた問題が多かったことから、社会が苦手な生徒も例年の問題よりは解きやすかったと思われます。一方、毎年沢山ある「完答で正解」という形式の出題が今年はさらに多くなりました。また、単なる語句を聞くのではなく、その語句の内容を正確に把握しているかどうかを問う出題も増えました。
統計資料の読み取りは例年通り多めです。文章記述問題に関しては、昨年同様、語句の説明を書かせる問題は出題されず、初見の資料を見て、その内容をしっかり理解できるかどうかを問うものばかりでした。そこまで難解ではないものの、落ち着いて正確に説明する力は必要です。
全体として、授業内容をきちんと理解し、地理・歴史・公民についてのバックボーンがある生徒にとっては解きやすい問題でしたが、語句の暗記に頼りがちな勉強をしている生徒にとっては、得点を落とす場面もあったと思います。満点を取ることはなかなか難しいでしょう。
▶求められる力
学校の地理学習では「九州・中国・四国・・・」と地方ごとに学習していきますが、それだけでなく、常に「自然」「人口」「産業」などといった大きなテーマを意識しながら学習する必要があります。歴史の学習では、語句を単独で暗記するのではなく、各時代の大きな流れを意識しながら、出来事が起こった場所・年代・関連する資料などをまとめて、多面的に学ぶ力が必要です。公民では、国会・内閣・裁判所を中心に、しくみを正確におさえ、人権、租税や財政などについてもしっかりと整理しておきたいところです。どの分野にも言えることですが、定期テスト前に暗記一辺倒の勉強をしているようでは入試に太刀打ちできません。単に語句を暗記するのではなく、関連する語句どうしを結びつけたり、資料や統計から考察したりする訓練を重ね、地歴公融合問題にも対応できる力を身につけていく必要があるでしょう。