受験突破に求められる国語力とは？

２０２４年度　大阪府公立一般入試問題分析と今後の受験に向けて求められる力（国語編）

・国語Ｃ（発展）問題

▶分析

　昨年同様、論説文が２題・古文が１題・漢字や漢文の知識などの言語事項・作文の大問５題構成でした。２題の論説文は、ともに主張が明確に展開されている文章ですが、「歌論」「歴史論」といった中学生にはなじみの薄い内容で、難解な言葉が多用されていることもあり、読解力が十分に鍛えられていないと短時間で正確な内容理解には至らなかったのではないでしょうか。古文は筋を追う問題が中心となっており、きちんと「だれがどうした」などの訳が取れていれば得点につなげられたと思います。ただし、３問中１問が記述問題で、こちらは何を書いてよいか迷う受験生もういたでしょう。作文も例年通り、３００字以内という字数条件で出題されています。提示された資料に込められた意図を読み取り、「読書」について論じる、という論理的思考力や表現力が問われるものでした。普段から資料の意図を推察する練習をしていた受験生にとっては、比較的書きやすい出題であったと思われます。

特筆すべきは、例年多く出題されていた語句の抜き出しが無くなり、全体で記述が３問、他はすべて記号問題という出題になったことです。記述の字数は最大で８０字以内で、昨年と同じくらいの記述量です。記号問題も文章の内容に合致するものや、筆者の主張をまとめたものが出題されており、浅い読み取りでは正解の出しにくい設問が目立ちました。

▶求められる力

　現代文では、難解な文章の要旨を正確に読み取る力、短時間で問題文の意図を理解して解く情報処理能力が求められます。選択肢問題も、各選択肢文自体の内容把握が必要となる難解なものですが、正誤を瞬時に見極められなければなりません。また、記述問題では、文章中から解答に使用できる箇所を素早く特定したうえで、必要な要素を取捨選択して指定字数内にまとめる力が必要です。一方で、古文・漢字や熟語の組み立てなどの言語事項は基本的な事柄が理解できていれば十分対応可能であったため、教科書内容の理解を疎かにせず、日頃から幅広い知識を身につけていくことが大切です。作文においては、普段から様々なことに関心を持ち、自分の考えを深めていくこと、資料やデータから本質を見抜く力、根拠を持って自分の意見を論理的に述べる力を身につけていくことが重要です。

・国語Ｂ（標準）問題

▶分析

　今年のＢ問題は、論説文が２題・古文・漢字・作文の５題構成でした。論説文は、要旨および筆者の主張が読み取れているかを見る出題が中心で、比較的難解な内容になっています。論説文で最大７０字以内の記述が出題され、古文でも３０字以内の記述が１題出題されています。記述量も例年に比べ増加しており、空欄前後の言葉とのつながりも意識しつつ、必要な言葉をまとめる練習が不足している生徒は苦戦したと思われます。一方、その他の問題・漢字などは基本的な内容を問うもので、教科書レベルの内容が理解できていれば問題なく解けるでしょう。

作文は昨年同様２６０字で出題されています。昨年までの資料（グラフ）をもとにするものではなく、「合意の形成に向けての話し合い」について条件を意識して自分の考えを書くというものでした。しっかりと練習を積んでいれば書きやすいものだったと思われます。

▶求められる力

　現代文では、本文の要旨を正確に読み取り、短時間で問題文の意図を理解して解く情報処理能力が求められます。空欄補充型の抜き出し問題では、文章内容をきちんと把握したうえで、空欄の前後を参考にしながら、本文の適した箇所を素早く探し出す力が必要です。一方、文法や漢字、漢文などの言語事項は基本的な事柄を問われるため、取りこぼしのないように、幅広い知識の習得を早くから意識して学習することが大切です。また、作文においては、自分の意見を論理的に述べられるよう、普段から自分の考えをしっかり持ち、それを表現する練習が必要です。